06 – イスラエル歴史の変動の原動力となったハンナの貢献

                                        イスラエル歴史の変動の原動力となったハンナの貢献

               サムエル記1、2章 

 ハンナは恵,神に愛されるという意味ですが、恵にほどとういいじめにあっていました。当時は一夫多妻が一般的で夫エルカナにはもう一人の妻ペニンナがいました。ペニンナには子供がいましたが、子供がいないハンナをエルカナは愛していました。ペニンナは夫の愛がハンナにむいているのを妬ましくハンナを憎み、神様が彼女の胎を閉ざされている事を恨ませようと悩まし続けました。神様を信じているハンナは神を恨む考えも及ばす、不妊と神様のみ旨のはざまに立たされどんなに苦しかったことでしょう。年に一度主の宮に上ぼるごとにペニンナのいじめは頂点に達しました。エルカナはハンナがいじめられているとも知らず、「ハンナよ、なぜ泣くのか。どうして心に悲しむのか。私はあなたにとって10人の子供よりも勝っているではないか。」彼はハンナの悲しみを受け止める優しさがありましたが、彼女の心深いところまでは理解していませんでした。ハンナはペニンナからいじめられていることを彼に話していなかったようです。私たちが同じ境遇になったらどうするでしょうか。ペニンナに反発するでしょうか。夫に同情求めるでしょうか。ハンナは両方ともしていません。ハンナは心が押しつぶされ泣いて食べることもできません。悩みを打ち明けるところは一体何処にあるのでしょうか。

 神様はハンナの積もる憂いと悩み全てをご存知でした。神様はハンナに逃れの道を用意しておらえました。ハンナが祈りことができるのは神様からの最高の恵であり逃れの道でした。

「あなた方の会った試練で世の常でないものはない。神は真実である。あなた方を耐えられないような試練にあわせることがないばかりか、試練と同時に、それに耐えられるように、逃れの道も備えてくださる」(1コリント10:13)彼女は神殿で神に近づき、心の深い痛みと悲しみを泣きながら長~い長~い間訴え祈っていました。彼女を見た祭司エリは彼女が酔っているかと思えるほど祈りに集中していました。彼女の祈りを聞くと恨み、辛さ、悲しさの訴えから解放され神と交わりの中で心が癒され、神に感謝と献身の誓いを立てる祈に変わっていることに注目したいと思います。「万軍の主よ、まことに、はしための悩みをかえりみ、わたしを覚え忘れずに男の子を賜りますなら、わたしはその子を一生の間主にささげ、剃刀をその頭にあてません」。長い間待ち望んだ男の子は神様が与えてくだっさた子ですから、神様におささげ致しますと言い切ったハンナの祈りの献身がうかがえます。剃刀を頭に当てないのは、その子が神にささげられたナジル人(士師記13:5)という意味ですが、その代表は士師のサムソンでイスラエルを救った人として有名です。ハンナは神様が祈りを聞かれると確信するまで祈り続けました。祭司エリはハンナに声をかけると、「積る憂いと悩みのゆえに心を注いで祈っていたのです」と彼女は答えました。エリは「安心して行きなさい。どうかイスラエルの神があなたの求める願いを聞き届けられるように」とエリはハンナを祝福しました。ハンナは祈りが神に聞かれたと確信し(13ヨハネ5:14,15)すでに叶えられたと確認し、もはや悲しげではなく食事をすることができました。私たちが憂いと悩みが心をふさぎ、神さまのみ旨がわからなくなってしまった時神様に祈り伝えましょう。心の重荷をすべて隠さず祈りましょう。祈りは心にある全ての思いを神様と分かち合うことです。神様はすぐに応えて下さるかもしれませんし、長い時祈りを必要とするかもしれません。神様の戸を叩き続けたら必ず開けてもらえます。祈りの確信は聖書の御言葉から、メッセージからあるいは友達から与えられ魂に平安がきます。ハンナのようにもはや悲しげではなく、祈りをもって神様との絆が新たに結ばれます。

 神様はハンナを顧みられたので、彼女は男の子を産み「私はこの子を主に求めたからだ」と言ってサムエルと名付けました。主にささげると誓いを立てたハンナは幼子サムエルが乳離れする間、どのような心境でサムエルと日々過ごし養育したのでしょうか。母の溢れる愛情と慈しみを注ぎ、主に仕える者として分別のある神第一とする生活の中で自ら模範を示しながら育てたのでしょうか。ハンナはサムエルが乳離れした時、犠牲の捧げものを持って祭司エリのもとに連れて行きました。「わが君よ、かつてあなたの前で祈った女です。この子を与えてくださいと祈り、主は願いを聞きとどけられました。それゆえわたしもこの子を主にささげます」。ハンナの決断は行動を伴いました。毎年ハンナはサムエルのため上着を作って神殿に行きサムエルに会うのを楽しみにしていました。わらべサムエルは主の前で育ち、主にも人々にもますます愛せられて成長したのは、母ハンナの背後の祈りがあったからでしょう。神様はハンナを祝され5人の男女の子供たちに恵まれました。

 ハンナがサムエルを神様にささげたのは、神様の壮大な計画が進められる始発点でした。その当時はまだ士師時代で主の言葉はまれで黙示も常で、人々は好むことを行い無秩序の社会でした。預言者サムエルの指導のもとで神を中心としてイスラエルが統一され、ダビデにより国が安定していく過程でした。その大切な礎を担ったのはサムエルであり、原動力となったのは母ハンナの祈りと実行力でした。